入学・卒業の記念写真

学生服姿を思い出に

卒業の記念写真

入学式

母親から産まれて初めての入学式は小学校へ入る時になるのが一般的な人生であり、日本に住んでいて日本国籍の持ち主ならばほとんどがこのパターンに当てはまります。 毎年4月1日の時点で満6歳と認められる子供は、健康で特に異常がなければ小学校に入学するのが現代社会では常識となっておりますが、 身体に障害が見られたり発達が未熟であると診断された場合は特別支援学校へと進むことになります。 なにも嫌がらせでそのように分けているのではなく、他の児童と同じペースで授業を受けることが困難だと思われるための措置でそのような扱いになるのです。 義務教育制度があるので健康な児童は満6歳で小学校へと入学するのですが、最初の入学式はみんなピカピカの制服でおめかしして校門の前で記念撮影をしたり、 両親に連れられて写真スタジオへ行きそこでプロのカメラマンによる撮影をします。 日本での入学式の時期はほとんどの学校で4月の頭に設定されており、国内の事情しか知らない人は世界中の入学式が同じ4月に行われていると錯覚しがちですが、 実は日本だけの常識であることを知っておかなければ国際人としては失格です。欧米では9月の入学式もありますし、秋に入学する学生さんも大勢いるのです。 それに日本でも昔は9月に入学式があった時代すらあるのです。 小学校の話ではありませんが最近では大学の入学式を9月にしてみてはどうか、という話もありますし、将来的には小学校も秋に入学する時代が到来する可能性もわずかながらに考えられるかもしれません。 今でこそ入学式の定番の花は桜ですが、いずれ落ち葉が入学式のイメージになる、そんな未来がやってくるかもしれません。

卒業式

卒業式は学校で決められた、規定で組まれた全課程を修了することで出られる、学校を卒業する時の区切りとなる式です。 人生で最初の入学式が小学校なので、初めての卒業式も小学校になる人が大半でしょう。 節目となる重要な式典ですので写真好きの両親を持たない学生さんでも、この日は何枚もの記念写真を撮ること請け合いです。 親御さんがはしゃいで大喜びするような家庭ならきっと写真スタジオで豪華撮影会を企画して、何十枚もの卒業写真を撮るかもしれません。 ですが思春期に差し掛かっているでしょうから親と一緒にそんなことしない、という学生もいますし、必ずしも全ての卒業生が写真スタジオへ乗り込んで晴れ姿を記念に、となるわけではなさそうです。 ここで「小学校の前に保育園や幼稚園を卒業しているから初めての卒業というのは、ちょっとおかしいのではないでしょうか」と疑問に思う人もいるかもしれませんが、 幼稚園は入園して卒園するもの、保育園も同じです。 なので卒業というのを初体験するのは小学校、これは日本で育つのなら90%以上の人が当てはまる事実なのです。 卒園でもきっと記念撮影はするでしょうが、それよりもすぐに入学式が控えているためそちらに両親の関心が惹きつけられ、思いのほか大きなイベントとして扱われないのが卒園式の不憫なところかもしれません。 つまり名目共に初めての大きな卒業の行事となるのが入学式の卒業式で、このことに議論の余地はありませんし苦情も一切受け付けません。

比喩としての卒業

卒業とは学校を卒業する場合にだけ使われる言葉ではありません。 「本日をもって○○中学校を卒業する」のような使用法が王道ですが、何かをやめる場合にも度々この単語が用いられます。 「今月一杯でこのコンビニのアルバイトを卒業する」「このキャバクラを辞めて水商売から卒業する」といった感じでその職場を離れる場合にも卒業を使った言い回しが若者の間では広く使われていますが、 記念にみんなで写真を撮ることはあってもわざわざ写真スタジオで撮影することはありませんし、誰からも卒業証書を授与されることもないし卒業式に出席することもありません。 送別会やお別れ会という名の飲み会は開催されるかもしれませんが、卒業式ではないし何を卒業するというわけでもないのでその実績を履歴書に記載することは憚られます。 心のこもった思い出としてアルバイト先から手書きの卒業証書を手渡されたとしても、なんの効力も持たないただの紙ですので人に自慢できるわけでもありません。 またその場所を立ち去る場合以外にも使われるケースがあります。みなさんも雑談の中でよく聞くであろう「金輪際タバコは吸わない、禁煙する。もうタバコは卒業するよ」 「昨晩はまたみんなに失態を見せてしまったようだ、こんなのもうこりごりだしお酒は卒業する、今後は焼酎かビールだけにしよう」といった、何かを断つ時に使われる卒業です。 こちらの場合も卒業証書は手に入りませんし写真スタジオで記念写真を一枚、ということにもなりませんし、求人の面接で「最終学歴はタバコです」と胸を張って答えることもできない名ばかりの卒業です。 そして落とし穴として、再び入学する人も多いようです。